2020 年 Annual58 巻 Abstract 号 p. 158
脳内電気活動を非侵襲で画像化する方法として,脳皮質電位イメージングが提案されている.脳皮質電位イメージングによれば,頭皮で計測された脳波から空間逆フィルタを用いて,脳表面上における電位を高空間分解能で可視化でき,信号源の数や方向に制限されることなく推定できる.本研究では,脳活動を詳細に可視化するために,最適なフィルタ特性と伝達行列誤差を考慮したフィルタを組み合わせた手法を提案した.また,時間変化する脳活動を動的に可視化するために,空間逆フィルタを時空間逆フィルタに拡張した.脳波の時空間雑音情報に応じて時変性パラメータに制約条件を設けることで,逆フィルタの安定化を達成した.実脳波として,パターン反転刺激ならびに視覚運動刺激による視覚誘発電位へ応用した結果,それぞれ腹側皮質視覚路,背側皮質視覚路へ信号が伝搬する様子が確認され,生理学的知見と一致した結果が得られた.T提案法は,非侵襲で脳機能を時空間解析する有効な手法として期待される.