生体医工学
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生体外実験によるバイオシートを用いたバタフライ型人工房室弁の機能評価
田地川 勉関戸 耀太中山 泰秀
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2020 年 Annual58 巻 Abstract 号 p. 162

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抄録

これまで我々の研究グループでは,生体自身を培養器として利用し様々な立体形状を有する結合組織体を作製する生体内組織形成術(以下,iBTA)を用いて,人工血管,心臓弁などの再生に取り組んできた.中でも,心臓代用弁としてのバイオバルブは,主に動脈弁としての開発を行ってきたが,房室弁形状のバイオバルブは対象となる弁の形状が複雑であり,特に弁尖が腱索によって心室壁と繋がる構造的な複雑性を有することから,移植難易度が高いといった問題点があり実用化には至っていない.そこで本研究では,この問題点を解決する簡易型人工房室弁の開発を目標として,簡易的な形状を有しながらも,弁閉鎖時に弁尖の裏返りなどの逸脱が生じにくい形状として,人工弁輪を兼ねた金属製のステントにシート状の結合組織を縫い付けることで,ヒンジを有する様なバタフライバルブ形状の人工弁を試作した.この弁を,研究室で開発した左心シミュレータを用いて,ヒト左心系の生理条件を模した条件下で実験を行うことで,逆流率,EOA,圧隔差などの弁血行力学的特性を測定・評価した.また,バイオシートと力学的に相似なポリウレタンシートを使い,その厚みやシート切り出し形状を変化させることで,弁形状の違いが弁機能におよぼす影響を系統的に調べることで,設計の最適化を試みた.

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© 2020 社団法人日本生体医工学会
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