生体医工学
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ライブセル高速原子間力顕微鏡による細胞表層骨格の可視化とメカノセンシング機構の解明
吉村 成弘
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2020 年 Annual58 巻 Abstract 号 p. 226

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抄録

細胞表層骨格は、細胞の形や運動を決定・制御する重要な動的構造であり、細胞分裂や組織・器官形成において重要な役割を果たしている。また表層骨格は、細胞膜と共に、化学刺激や機械刺激などの様々なシグナルを受容し、細胞内へ伝達するハブとしても機能しており、各種エンドサイトーシス経路への関与が、分子レベルで明らかにされている。我々はこれまでに、ライブセル観察に特化した高速原子間力顕微鏡を開発し、表層骨格の動的構造を生きた細胞で明らかにすると共に、共焦点蛍光顕微鏡とを組み合わせた新たな相関イメージング法を確立することで、エンドサイトーシス等の過程における膜変形とタンパク質局在との関係を明らかにしてきた。ここでは、外力による機械刺激が細胞表層骨格の動的構造に及ぼす影響、およびエンドサイトーシスなどの膜変形過程に及ぼす影響について解析したので報告する。PDMSチャンバを用いて、培養細胞に一軸の伸展刺激を与えると、エンドサイトーシスの開始のステップとΩ型への移行時に大きな遅れが見られた。これは、これらの過程が膜張力に依存することを示すものであり、細胞の張力維持機構における重要なメカニズムの1つであると考えられる。

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© 2020 社団法人日本生体医工学会
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