生体医工学
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人工心肺用ローラポンプ圧閉度可視化システムの精度評価
深谷 碧白石 泰之井上 雄介山田 昭博佐原 玄太工藤 剛実相澤 康弘山家 智之
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2020 年 Annual58 巻 Abstract 号 p. 266

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抄録

人工心肺用ローラポンプ使用時における溶血リスク軽減のために、ローラポンプ圧閉度の定量評価が求められている。我々は、機械的ストレス算出に必要となるチューブ内の流路形状を赤色濃淡画像から可視化するシステムを開発した。このシステムは、リニアアクチュエータ、アクリルで作製したローラとレースウェイ、模擬血液粉末で着色した溶液、3/8 インチの塩化ビニルチューブを用い、圧閉されたチューブ内赤色濃淡画像をカメラで撮影し、数式処理システムにて流路形状を構築するシステムである。本研究では、圧閉度可視化システムの精度を評価するために、赤色濃淡画像から計測された流路断面の厚みと、同じ圧閉条件下にて硬化させた高精細転写用シリコーン断面の厚みを比較した。なお、硬化させたシリコーンは3次元形状測定機にて測定した。実験の結果より、可視化システムで計測された流路断面の厚みとシリコーンの厚みを比較すると、流路断面形状がよく近似でき、線形関係が得られた厚み領域で示されることがわかった。ただし、流路断面の厚みが120 μm以上の場合、赤色濃淡画像から推定された流路断面形状はシリコーン転写3次元形状と比べて低値を示した。これらのことから、本システムでは圧閉されたチューブ内の狭小流路については高精度の3次元形状を構築できると考えられた。

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© 2020 社団法人日本生体医工学会
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