2020 年 Annual58 巻 Abstract 号 p. 301
睡眠深度の判定には,複数の生体信号を計測する必要があり,専門的な知識が必要となるため,その判定は容易ではない.そこで,簡易的に計測が可能な心電図を用いて睡眠深度を推定することを目的とした.本研究では,心電図のDFA解析が睡眠深度の推定のパラメータとしての有効か調査した.健常な男性3名の計4個の終夜のデータを解析に用いた.推定用のパラメータとして,30秒ごとのDFA解析の結果を用いた.DFA解析の結果に加え,ローパスフィルタをかけたもの,トレンドの向きの3種類と機械学習の分類器の一つである決定木を用いて睡眠深度の推定を行なった.ローパスフィルタとトレンドの向きはREMおよび深い睡眠の推定に有効であると考え,睡眠深度推定のためのパラメータとして使用した.結果として63.7%の精度を達成した.適合度は,覚醒状態では86.1%,REM睡眠は51.5%であった.今回はDFA解析が睡眠深度の推定に有効なパラメータであるか検証を行なうためにDFA解析の結果のみを用いて睡眠深度を推定したが,今後はさまざまなパラメータと組み合わせ,さらに精度を向上させることを目指す.