2020 年 Annual58 巻 Abstract 号 p. 472
日本において運動会の生徒や学校の入学試験の受験生はしばしば頭部にハチマキを装着する.ハチマキの装着する行為は「精神の統一」や「気合いの向上」等の精神的な効果や,「額から出る汗をハチマキに吸収させ顔に垂れてこないようにする」という実用的な効果があると言われている.我々はさらにハチマキには装着者への運動や認知の能力の向上を促す効果があると考えている.そこで本研究では認知能力の向上に着目した実験タスクを構築し,ハチマキの有無で成績に差違があるかどうかを検証する.本稿では,参考の二次方程式を呈示し表示された第二項の符号と第三項の符号が同符号か異符号かを判別する実験タスクを行う.その際,二次方程式の上部に「同符号」ないしは「異符号」と表示される.二次方程式に上部に表示された符号の状態と二次方程式の符号の状態が同一である場合に被験者は即座にボタンを押す.本実験課題を行った際の正答率と反応速度に着目する.本実験タスクの結果,ハチマキをしなかった場合の正答率が97.08%であるのに対して,ハチマキをした場合の正答率が98.98%と正答率が向上した.ハチマキをしなかった場合の正答率とハチマキをした場合の正答率をt検定にて検定を行ったところ,p<0.01で有意差を得た.本結果より,頭部にハチマキを装着すると「規則に従って物事を正確に判別するための認知能力」が向上することが示唆された.