生体医工学
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独立成分分析による10 GHz帯と24 GHz帯域ドップラーレーダから計測された心拍・呼吸信号の分離法
枝並 佳佑孫 光鎬桐本 哲郎黒沢 正樹松井 岳巳
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2020 年 Annual58 巻 Abstract 号 p. 487

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抄録

レーダを用いた非接触生体計測は,接触式に比べ簡易かつ長時間にわたり生体情報を取得できる点から有益である.心拍動や呼吸運動による胸・腹壁の微小な変化をレーダで捉え,出力信号を周波数解析することで1分間の平均呼吸数と心拍数を算出する.しかし,レーダから計測された心拍と呼吸信号には心拍変動や情動変化など有用な生体情報が含まれ,心拍と呼吸信号を分離し,より詳細な時系列信号の解析が望まれている.レーダ信号から心拍と呼吸信号の分離手法として,心拍信号(0.8~3.0Hz)と呼吸信号(0.1~0.6Hz)の周波数成分が異なるため,バンドパスフィルタを用いた手法が一般的である.しかし,フィルタ処理による波形のなまりから,心拍信号に含まれる心拍間隔(RRI)などの生体情報が損なわれる傾向がある.本研究では,2台のレーダ信号に対して独立成分分析(ICA)を用いることで,統計的に独立となるように心拍と呼吸信号の分離を試みた.まず,ドップラーレーダの出力信号から独立成分分析を行う数理モデルを導入した.また,レーダに関しては干渉の影響を考慮し,10GHzと24GHzの異なる周波数帯域のドップラーレーダを使用した.提案法の分離精度を確かめるため,心電計を基準として心拍間隔指標と心拍波形のピーク点ごとの時間誤差を算出することにより評価を行い,提案法の心拍信号において心拍間隔の高精度な測定可能性を示した.

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© 2020 社団法人日本生体医工学会
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