生体医工学
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超音波ボリューム中の血管網の拡張法を応用した肝臓血管の3次元変形解析
岡留 寛斉安田 育武片井 拓弥渡邉 晃介枝元 良広桝田 晃司
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2020 年 Annual58 巻 Proc 号 p. 596-597

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抄録

我々は,ドラックデリバリーシステム(DDS)のための超音波による血管網の再構築に取り組んできた.先行研究では複数方向から撮像した超音波ボリュームを構造解析し連結することによって血管網の拡張が可能となった.しかし,個々のボリュームでユークリッド2乗距離変換による構造解析では芯線や分岐点が正しく取得できない場合があることや,被験者の姿勢や呼吸状態が異なることで血管に変形が生じているため,血管形状としての再構築は信頼性が担保されていなかった.そこで本研究では,人体肝臓血管を対象とした3次元血管の構造解析手法の改善と血管網拡張の適用及び血管変形の調査を目的とする.ボリュームの構造解析には3次元の点群を用いて分岐点の抽出を行い,拡張にはボリューム取得時に位置計測センサを用いて記録したプローブの位置情報を用いて連結部分を明確にした.上記の手法によって血管の構造解析と拡張の検証を行ったところ,より正確な構造解析結果が得られ,肝臓において右葉から左葉に渡る広範囲の拡張血管網を取得することができ,最大で経路長が約1200 mmの血管網を取得できた.さらに,被験者の姿勢や呼吸状態を変化させて特定の撮像状況を作り,その状況下において撮像と拡張を行うことで血管網の変形を定量的に評価した.

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© 2020 社団法人日本生体医工学会
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