生体医工学
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粒子画像流速測定法を用いた動静脈吻合モデルの流れの可視化
佐々木 一真新江 義正奥 知子山内 忍本橋 由香佐藤 敏夫阿岸 鉄三
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2020 年 Annual58 巻 Proc 号 p. 604-605

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抄録

我々は維持透析患者のVascular Access(VA)に加速度センサを装着し、生体音分析装置を用いて測定したシャント音から、周波数領域における経時変化を定量的に表す正規化相互相関係数Rを用いた新しいVA機能評価方法を提案している。維持透析患者のVAでは、大量の血液が動脈から静脈に急速に流れ込むため、動静脈吻合部(ArterioVenous Fistula:AVF)付近や狭窄部位では流速が速く、ジェット様の流れや乱流・渦流が発生し、血管壁を振動させることでシャント音が発生するといわれている。また、AVF近傍の静脈が狭窄好発部位と報告されているが、血流状態とシャント音の音響特性について実験的に検証した報告はあまり見当たらない。今回は、径狭窄率の異なるAVFモデルの吻合部下流の流出静脈で擬似シャント音を測定・分析するとともに、管内の流れを粒子画像流速測定法を用いて可視化し、血流状態がシャント音の音響特性に与える影響を明らかにすることを試みた。その結果、径狭窄率が低い場合の吻合部下流では、流れが層流で、擬似シャント音は低周波数成分が主成分の音であった。その一方で、径狭窄率が高くなるにつれて流れが大きく乱れ、渦流を形成し、擬似シャント音は高周波数成分が主成分の音に変化していたことから、シャント音の音響特性には管内の流れの変化が影響を及ぼしている可能性が示唆された。

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© 2020 社団法人日本生体医工学会
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