2022 年 Annual60 巻 Abstract 号 p. 115_2
本研究は,加齢とともに衰える脳機能や運動機能の維持と回復を目的に,高齢者のための見守り機能を有する手指・腕の複合トレーニング装置を開発することを目指して進められた.高齢になると,筋力低下によりペットボトルの蓋が開けられなくなるなど生活動作に支障をきたし,また,手先の細かい作業や運動の不足により脳機能が低下して認知症の危険性も高まるため,生活の質(QOL)の向上と維持が高齢者福祉の大きな課題となっている.そこで本研究では,画面に提示される訓練プログラムの指示に従って,操作デバイスを握りながら手指と腕を動かして複合的にトレーニングを行うことができる新しい装置の開発を行った.手指と腕の同時トレーニングは運動機能や脳機能の維持・回復に効果的で,訓練データの記録と分析によって見守り効果も期待できる.今回の発表では,手指と腕に与える抵抗感を自由に変えることができる可変負荷発生デバイスと,それを基に開発した手指と腕の複合トレーニング装置のプロトタイプについて報告する.また,評価用に作成した訓練プログラムについても報告する.