2022 年 Annual60 巻 Abstract 号 p. 131_1
先行研究で高齢者のVR酔いにおける生体反応を評価した。今回は,若年者と高齢者のVR酔いにおける主観評価(SSQ),心拍変動,鼓膜温度を比較した。被験者は,若年者10名(男5名,女5名,27±6歳),高齢者8名(男4名,女4名,75±7歳)である。実験プロトコルは,心電図電極と鼓膜温センサを装着して安静5分を保ち,遊園地アトラクションVR(ジェットコースター,回転ブランコ,回転カート)を3分30秒実施した。その後,安静5分,主観評価(SSQ)を行った。安静時とVR使用中の平均鼓膜温度と心拍変動指標(HR,SDRR,LF,HF,LF/HF)を算出し,安静とVR使用中で比較した。SSQの結果,若年者は回転カートよりジェットコースターの方が有意に目の疲れ(P=0.017)とふらつき感(P=0.014)が強かった。また,若年者と高齢者のSSQスコアーを比べると若年者の方が約2~4倍くらい有意に高い値を示した。若年者のジェットコースターにおける鼓膜温度は有意に増加した(P=0.032)。VRを使用した場合,高齢者に比べて若年者の方が主観的に酔いが強くなり,アップダウンの激しいジェットコースターにおいて若年者の鼓膜温度が有意に増加した。高齢者より若年者の方が,VR酔いを強く引き起こすことが示唆される。