生体医工学
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全身性の断続的微振動刺激による骨質向上作用の放射光CT/ラマン分光解析
國森 皓貴山岸 史明松本 健志
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2022 年 Annual60 巻 Abstract 号 p. 157_2

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抄録

骨粗鬆症は骨量・骨質の著しい低下による易骨折性を示す疾患であり,高齢者の罹患は要介護や寝たきりのきっかけにもなることから深刻な社会的課題となっている.骨粗鬆症の予防には運動が効果的であることから,低侵襲性で運動代替効果を持つ全身性微振動刺激(WBV)に期待が持たれている.本研究では,近年,その有効性が示唆されている断続性を考慮したWBVの骨粗鬆症予防効果を検証した.卵巣摘出マウスを対象とし,WBV負荷装置には入れるが振動を与えない群(Sham,n=8),既に効果を認めている振動期3秒-休止期9秒の断続WBV群(I-WBV,n=8),振動期3秒-不規則長の休止期(3~15秒)の断続WBV群(IR-WBV,n=8),また新たに段階的(3~15秒)に休止期が増減する断続WBV群(Step,n=8)の4群に対して,WBV負荷実験を2週間行い,脛骨を採取した.放射光CTによる骨構造解析の結果,Step群については,皮質骨厚さでI-WBV群に比べ有意に大きく,海綿骨骨梁幅ではSham群に比べ有意に高値を示した.骨ミネラル密度は,皮質骨ではI-WBV群を除いた振動群でSham群よりも有意に高値を示した.一方,海綿骨ではすべての振動群でSham群よりも有意に高値を示した.ラマン分光分析による骨成分評価の結果では,皮質骨のミネラル結晶化度においてI-WBV群がSham群と比べて有意に高値であった.また,その他の成分指標では,有意差はなかったがStep群がSham群に比べ最も大きな値を示した.Step群において,より長い休止期が連続することが振動刺激の感度回復に有効である可能性が窺われた.

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© 2022 社団法人日本生体医工学会
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