生体医工学
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心拍変動解析による自律神経活動に基づく自由生活下での笑いの同定
山田 美裕宇綾部 誠也
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2022 年 Annual60 巻 Abstract 号 p. 180_2

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抄録

【目的】本研究は日常生活下での笑いの同定を鑑みて,笑い発生時における心拍変動に基づく自律神経活動の解析方法を検討することを目的とした.【方法】対象者は若年男性7人であった.実験は,ベースライン測定を含む5時間の自由生活下で行い,5分毎に自律神経活動の解析と笑いの主観的評価を行なった.自由生活下は,対象者が自由に行動した.自律神経活動解析は,心拍センサ (Poral H10,ポラール社製)が導出した心拍RR間隔を高速フーリエ解析し,超低周波数帯 (Very Low Frequency: VLF) ,低周波数帯(Low Frequency:LF),高周波数帯 (High Frequency: HF) ,LF/HFを算出した.笑いの主観的評価は,笑いの強度を4段階 (0:笑いなし,1:笑顔程度の笑い,2:くすくす笑い,3:お腹からの笑い) を主観的に評価した.【結果】笑いの主観的評価が1から3点の時のLF (0.181±0.037)とLF/HF(0.323±0.056 ) は,同0点の時 (LF: 0.154±0.016, LF/HF: 0.269±0.029) に比して有意に高値であった (p = 0.028, p = 0.006) .VLFとHFは,有意な差が確認されなかった.【考察】本研究は,日常生活下での笑いの発生に伴う自律神経活動の変化をLFとLF/HFの高値として確認した.これらの結果は,心拍変動解析による自律神経活動として得られる交感神経活動の亢進に基づいた自由生活下での笑いの同定の可能性を示唆する.日常生活下での笑いと自律神経活動の関係における,行動や情動,環境因子の影響の検討が今後の課題である.

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© 2022 社団法人日本生体医工学会
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