2022 年 Annual60 巻 Abstract 号 p. 213_1
近赤外光(NIRS:near-infrared spectroscopy)による脳機能計測において、皮膚血流を抑制するためのアルゴリズムとして深さ選択性フィルタが提案されている(1)。深さ選択性フィルタは、光強度変化が生じる要因が、生体組織内で血液量変化が生じる領域を皮膚血液量変化が生じる表層と脳血液量変化が生じる深層の2層のみと仮定して、生体の光学特性をモデル化して3次元解を求め、深層信号のみを抽出して光トポグラフィを再構築する方法である。本手法の適用時には表層信号の変化を選択的に検出するために光の照射・受光間距離の短い(SSD)信号を取得して補正に使用する。しかしながら、表層信号の抑制が過剰に作用し、対象信号が減衰する場合が存在する。この問題の解決ために、モデル化時の解析ボクセルの配置をシミュレーションにより検討した。表層に配置する解析ボクセルについてSSD信号の検出点直下(深さ2㎜)のボクセルを除外することにより、深層信号を減衰の弊害を低減できることを確認した。【参考文献】(1)藤井麻美子他,生体医工学,48(4)pp.383-395,2010.