生体医工学
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膝関節屈曲および脛骨回旋運動変化におけるストレイン超音波エラストグラフィによる内側側副靱帯の剛性評価
髙根沢 佑斗坂本 信小林 公一佐々木 朋裕
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2022 年 Annual60 巻 Abstract 号 p. 92_2

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抄録

膝内側側副靱帯(Medeial Collateral Ligament; MCL)は大腿骨内上顆から脛骨内側部にかけて走行している靱帯であり,主に膝の外反動揺性を制限する役割を担う.これまで,in vitroにおけるMCLの力学的特性やin vivoにおけるMCLの長さ変化に関する研究は行われてきたが、in vivoにおけるMCLの剛性を評価した研究はほとんどない.そこで本研究では,ストレイン超音波エラストグラフィ(Strain Ultrasound Elastography; SE)を用いて,膝関節屈曲角度変化に脛骨回旋負荷を加えた際の膝MCLの剛性変化を評価することを目的とした.対象は健常男性8名とした.測定肢位は仰臥位,膝屈曲角度0°, 30°, 60°, 90°, 120°の5角度について,無荷重,脛骨内外旋トルクを作用させた.MCLの剛性は,超音波リニア型プローブに音響カプラを装着し基準物質とすることでSE法により測定し,音響カプラのひずみに対するMCLのひずみの比をStrain ratio(SR)と定義し,評価を行った.SR値が小さくなるほど剛性が高いことを表す.MCLの剛性は,いずれの膝関節屈曲角度においても無荷重条件下と比べて,脛骨内旋トルクを作用させた場合には剛性が低く,脛骨外旋トルクを作用させた場合には剛性が高くなった.また,無荷重および脛骨内外旋トルクを作用させた場合のすべてに対して,膝伸展位0°において剛性が最も高く,屈曲角度が増加するにつれて剛性は低下し,最大屈曲位120°で剛性が最も低くなった.以上の結果より,MCLは,膝伸展位および脛骨外旋位において制動能力が高いことを明らかにした.

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© 2022 社団法人日本生体医工学会
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