生体医工学
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認知症の方の徘徊検知システムの開発
土屋 秀和浅川 毅志村 孚城髙柳 佳世子
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2022 年 Annual60 巻 Proc 号 p. 278-280

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抄録

本研究では,浜松市で展開されているオレンジシール/メール事業に関して,対象者のオレンジシールの個別番号を協力者が確認する際に,対象者に意識されることなく確認することを目的として,無線ICタグを靴等に貼付し,離れた所から個別番号を確認可能なシステムの調査研究を行なった.システム構成は,電池の不要な電磁誘導方式である無線ICタグ,電波利用申請が不要である特定小電力タイプのRFIDリーダ,個別番号を表示する為のスマートフォンによって構成した.実証実験として,無線ICタグを靴やジャケット等の内側及び外側に貼付し,読み取り距離について確認を行なった.その結果,RFIDリーダ及び無線ICタグのアンテナが共に平行な場合に感度が最も高いことや,革靴やダウンジャケットの内側の場合は外側に比べて半分もしくはそれ以下となることが判明した.また,布製のスニーカの中敷きに貼付した場合は40cm程度の読み取り距離を確保可能であることが判明した.今後の課題としては,RFIDリーダの小型軽量化及び低コスト化,製品化による実用化が挙げられる.また,展望としては,実証実験の継続による基礎データの積み上げや対象者における無線ICタグの最善な貼り付け位置の検証が挙げられる.また,将来的には協力者や協力店舗や路上にRFIDリーダを配置し,徘徊者の家族が交番に相談すると,徘徊探査システム管理者により対象者の場所を特定できるようなシステムをイメージし開発を進める.

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© 2022 社団法人日本生体医工学会
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