生体医工学
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自然言語処理による画像診断レポートの解析の経験
鈴木 一史
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2023 年 Annual61 巻 Abstract 号 p. 115_1

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抄録

COVID-19肺炎の拡大において、医療機関では予期せぬ院内感染の防止のため様々な対策が必要となった。当院では入院患者の全員に肺CT検査とPCR検査を行い、放射線診断専門医がCOVID-19肺炎に特有の画像所見について読影レポートを作成し、COVID-19肺炎のリスクについて5段階のカテゴリー分類を行い、高リスクのカテゴリーの患者はPCR検査の結果が出るまで個室対応とした。CoreMLフレームワークを使用して自然言語処理による機械学習を行い、画像診断レポートの所見文からカテゴリー分類とPCR検査の予測を行う機械学習モデルを作成した。データの準備はエクセルで表データを作成するだけでよく、機械学習の処理にPython等は用いていない。SwiftでiOSおよびmacOS用のアプリケーションを作成した。放射線科医によるPCR判定のF値は0.54、機械学習によるPCR判定のF値は0.38であった。機械学習による読影結果の予測のミクロ平均は0.60であった。作成したモデルの精度は放射線診断専門医には及ばなかったが、機械学習により画像診断の所見文から診断カテゴリーを評価することがある程度は可能であった。技術の進歩により、臨床医による機械学習の利用の敷居が低くなりつつある。

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© 2023 社団法人日本生体医工学会
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