2023 年 Annual61 巻 Abstract 号 p. 216_2
心疾患は世界中で最も死者数の多い疾患である。重篤な心疾患を持つ患者は冠疾患集中治療室(CCU)にて、24時間体制での循環動態の管理、治療が行われる。CCUにおいて早期に測定される心電図や血液検査は患者の心臓の状態を把握する上で重要な検査である。入院時に得られるこれらの情報は、今後の治療方針や治療の強度を決定する上で重要である。そこで本研究では、CCU患者のリスク評価を行うため、CCU入院時に測定された血液検査と心電図波形において、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)とXGboostを使用し、患者の短期的な予後予測を行った。藤田医科大学病院のCCU患者のうち退院時に生存していた893症例と死亡した289症例の計1,183症例を対象とした。入院時の心電図波形を画像に変換を行い、ImageNetにて事前学習済みのVGG16に入力し、特徴量を抽出した。抽出された特徴量と年齢や血液検査等の患者情報を組み合わせ、XGboost に入力し、生存症例と非生存症例の予測を行った。また、本手法の予測根拠を解析するため、SHAPを用いて予測の貢献度を算出した。分類の結果、AUCは0.872となった。また、機械学習モデルは心筋梗塞患者に対しトロポニン、心不全患者に対しeGFRに着目する傾向が見られた。これらの結果より、提案手法はCCU患者の短期的予後の予測に有用であることが示唆された。