生体医工学
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大動脈遮断率モニターのための後方散乱光計測システムおよび遮断率推定アルゴリズムのex vivo検討
田中 萌奈小川 恵美悠丸橋 孝昭伊藤 颯人熊谷 寛
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2023 年 Annual61 巻 Abstract 号 p. 229_2

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抄録

我々は、大動脈遮断バルーンカテーテルを用いた血管内遮断 (Resuscitative Endovascular Balloon Occlusion of the Aorta: REBOA) における合併症解決のため、後方散乱光を用いた大動脈遮断率のモニター方法を検討した。REBOAは、主に救急領域で外傷などによる横隔膜下の出血性ショックに対する低侵襲な蘇生手段として用いられる。REBOAでは、大動脈内にバルーンカテーテルを経皮的に挿入し拡張することで、バルーン末梢側の出血を制御する。遮断率はバルーン拡張時に術者が感じる抵抗を頼りに調整しており、過拡張となる恐れがある。この過拡張により血管損傷や虚血再灌流障害が生じることがREBOAの課題として挙げられる。これらの課題解決のため、我々は、経バルーン的後方散乱光計測による大動脈遮断率モニターの開発を目指している。本研究では、ex vivoブタ大動脈においてバルーン拡張に伴い変化する後方散乱光強度の計測システムの開発、およびその後方散乱光強度から遮断率を推定するアルゴリズムの構築を行った。大動脈内での光の照射および受光のため、プラスチック製光ファイバーを2本挿入した大動脈遮断バルーンを作成した。また、取得した光信号を電圧値に変換し増幅する後方散乱光強度計測システムを構築した。後方散乱光強度を説明変数、遮断率を被説明変数としたlogit関数に対し最小二乗法を用いた最適化を行うことにより、遮断率を推定するアルゴリズムを構築した。

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© 2023 社団法人日本生体医工学会
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