生体医工学
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体を隅々まで照らす新規生体光デバイス・システムの開発
佐藤 和秀塚本 俊彦
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2023 年 Annual61 巻 Abstract 号 p. 230_2

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抄録

光を用いた治療である近赤外線光免疫療法(NIR-PIT)の医療実装が脚光を浴びており、次世代型の治療モダリティとして期待されている。世界に先駆けた日本での治療認可と保険適応が2020年9月に実施されており、日本が世界にリードできる治療分野であると言える。本治療は、手術・放射線治療・化学療法・がん免疫療法につぐ“第5のがん治療”モダリティとして期待されており、適応拡大が企図されている。NIR-PITは、標的腫瘍細胞に特異的に結合する抗体-光吸収体(IRDye700DX)複合体を用いた新しいがん治療のモダリティである。この結合体は、近赤外線によって光活性化され、迅速な壊死性細胞死を誘導する。抗体を換えることで様々な種類のがんに対しての治療が可能となりうる。 しかしながら、NIR-PITなどの光治療では、薬剤の開発のみならず、光照射デバイスを開発する必要性が有る。現状は、体外からの照射にとどまり、体内深部への照射が課題となっている。 そこで、我々は経血管的に照射をすることが可能な光デバイスシステムを試作し、豚を用いた実験により、経血管的な光照射が十分な光量を血管を通して照射することが可能であることを証明した。光治療の経緯と本治療デバイス開発について発表したい。

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© 2023 社団法人日本生体医工学会
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