生体医工学
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電気インピーダンストモグラフィを用いた末梢血流量イメージング手法の提案
近藤 美弥吉元 俊輔山本 晃生
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2023 年 Annual61 巻 Abstract 号 p. 244_2

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抄録

循環器系の動態の詳細な理解と予防医学への貢献を目指し,ウェアラブルなデバイスにより日常下で末梢血行動態を観察するための生体イメージング手法として,電気インピーダンストモグラフィ(EIT)を用いた前腕の末梢血管における血流量の時空間分布の可視化手法を提案する.従来のEITには時空間性能に課題があり,末梢血行動態観察に有効な測定条件が十分明らかにされていなかった.そこで,本研究では励起周波数と感度の関係に着目し,血管収縮期および拡張期の前腕断面の組織分布を模した二次元モデルを用いたシミュレーションにより評価を行った.シミュレーション結果から,励起周波数を16 kHzに設定することで,100 Hzのフレームレートを担保しつつ,血管の3 mmから4 mmへの径変化を検出可能であることが示唆された.さらに,2名の成人男性を対象とし,前腕断面における測定実験を行った結果,再構成画像における高導電率領域の分布が,文献の一般的な前腕断面の血管分布に類似することを確認した.また,再構成画像の導電率分布の時間変動データに対し通過帯域が0.9 Hzから3 Hzのバンドパスフィルタを適用したところ,指先で計測した脈波に類似した時間変化を示すことを確認した.これらの結果は,前腕部において血流量変化を時空間的に捉えることができたことを示唆しており,EITの医療分野への応用に貢献すると期待される.

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© 2023 社団法人日本生体医工学会
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