生体医工学
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簡易模擬血液の調製
大前 菜緒菊川 久夫大島 浩
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2023 年 Annual61 巻 Abstract 号 p. 246_1

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抄録

【目的】本研究は、超音波による血流速測定に対し、赤血球に代替できる反射体を含む2相懸濁液を調製し、これらが簡易模擬血液として使用できるか調査することである。特に、これらの簡易模擬血液において、粘性が血液と同等程度であり、反射体としてマイクロバブルが使用できるかその可能性について検討した。【方法】実験に用いた模擬血液は、市販のマイクロバブル発生器を用いて、水道水によるマイクロバブル水を作製した。これに粘稠剤としてグリセリンを混合させ、マイクロバブル水-グリセリン溶液(濃度40 mass%)を調製した。溶液の粘性係数を音叉振動式粘度計により、粘性係数の時間的変化を測定した。溶液の温度は25℃ならびに30℃とした。なお、模擬血液中に存在するマイクロバブルは、光学顕微鏡により粒径の計測・観察を行った。【結果および考察】マイクロバブル水-グリセリン溶液では人の血液に近い粘性係数を示し、時間の経過に伴い粘性係数は若干増加傾向を示した。また、ずり速度を変化させた場合にも同様な傾向を示し、非ニュートン流体的性質が認められた。マイクロバブル水の粒径計測の結果、10μmから20μm程度であることから、赤血球と同程度ないし若干大きい粒径のバブルが含まれていることが確認された。実際に人工心肺回路の一部を使用し、作製したマイクロバブル水の流速を超音波流量計で測定した結果、水道水では困難であった流速の測定が可能であった。

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© 2023 社団法人日本生体医工学会
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