2023 年 Annual61 巻 Abstract 号 p. 267_2
これまでの知見により、メラノーマの自動診断に関し、色素病変画像から病変部のみを抽出することで、正診率が改善することがわかっている。そこで本研究では、高精度の病変抽出を目的とした、深層学習を用いたシステムの開発を試みる。本研究ではメラノーマの診断に広く使用されている色素病変撮影装置、ダーモスコープを用いたダーモスコピー画像を対象とする。本研究で用いるダーモスコピー画像のデータセットは撮影条件が画像によって異なる。特に多くの画像でダーモスコピーの光学系に起因する縁が映りこんでしまっている。縁の有無により抽出性能が低下することが判明したため、本研究ではすべてのダーモスコピー画像に同じサイズの縁を付与し、病変部を抽出する。本研究ではメラノーマを含む色素病変2594例を対象とする。すべての色素病変画像には、皮膚科専門医による病変部の正解データがセットされている。深層学習モデルにはU-Netを使用する。評価指標として、Jaccard係数を採用する。縁と病変部、それ以外の2クラス分類では、縁が統一されていないデータセットではJaccard係数が0.671、縁を付与したデータセットでは0.832であった。さらに、病変部、縁、それ以外の3クラス分類を実施した結果では、Jaccard係数は0.863であった。本研究によって、ダーモスコピー画像に特有の縁を考慮することで、抽出性能が向上することが判明した。