2023 年 Annual61 巻 Abstract 号 p. 300_2
人の顔などをカメラによって撮影し,非接触に画像脈波を計測する研究では一般的にRGBカメラ(とくにGreen成分)で脈拍数を推定している.しかしながら,脈による輝度変化は微少で,信号処理による脈拍数の精度は高くない上に,自律神経指標などに用いられる脈波ピーク間隔や血圧推定などに用いられる脈波伝播速度の推定には,正確な脈波形状(脈波の立ち上がり)を得る必要があり,画像脈波をこれらに利用することは難しい.本研究では,RGBと近赤外線(NIR)の4チャネルからなる映像を撮影可能なRGB-NIRアレイフィルタカメラを用いて,それら信号からより正確な脈波形状を得ることを目的としている.これまで近赤外映像を得るには近赤外カメラを別途設けるなどする必要があったが,RGB-NIRアレイフィルタカメラを用いることで1台のカメラで実現できるとともに同期処理や光軸のずれなどを考慮する必要がなくなる.RGB-NIRアレイフィルタカメラによる顔画像脈波を計測した実験を行い, 4チャネルの信号の様々な組み合わせに独立成分分析を施してより精度の高い脈波ピーク間隔を得る組み合わせを調査するとともに,一般的なRGBカメラでの結果と精度を比較した.精度評価のために心電図および顔に反射型光電容積脈波センサを取り付けた脈波信号も計測した.その結果, Green成分,Blue成分,およびNIR成分を用いたとき最も測定誤差が小さくなった.