生体医工学
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プレスチモグラフィー法に基づいたVAD下での血圧測定法
小川 充洋
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2023 年 Annual61 巻 Abstract 号 p. 85_1

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抄録

VAD(補助人工心臓)を装着した患者においては、血圧の脈圧が健常人と比較して顕著に小さくなる場合がある。なお、ここでも脈圧は収縮期血圧と拡張期血圧の差としてもよいし、あるいは血圧計測法によっては拡張期血圧が推定値となるといった問題を考えるならば収縮期血圧と平均血圧の差としてもよい。在宅VAD患者の血圧管理を考えた場合、自動血圧計測が必要であるが、家庭用血圧計に用いられるカフ振動法による血圧計測においては、動脈の脈動に起因する現象を利用しているため、血圧計測が困難になると考えられる。その他の血圧計測法においても、自動化が容易であり、血圧の脈動に計測原理が由来しないといった条件を満たすものはなく新たな計測法の開発が望まれる。われわれは、カフによる動脈圧閉部位から十分に末梢側の体肢容積を連続的にモニタリングすることによって、血圧の脈動が小さい場合において血圧を計測する手法を考案したので、これを報告する。この方式は、体肢における静脈血流遮断 (venous occlusion) を行った際に、体肢への血流によって体肢容積が増加する現象を用いるもので、体肢容積の増加は小さいが、光電的にこれを検出することによって容積そのものではなく、体肢への貯留血液の増加情報を得るものである。提案する方式によって、血圧の脈動に依存することなく収縮期血圧を計測可能であり、その他の血圧情報の計測についても検討中である。

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© 2023 社団法人日本生体医工学会
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