2023 年 Annual61 巻 Proc 号 p. 353-354
近年,様々な場面で創造性を発揮することが求められ,創造性を強化したいというニーズが増している.先行研究では,創造性が高いとき脳のアルファ波帯域のパワーが強くなることが示唆されている.一方で,脳のアルファ波を意図的に高めることで創造性も高まるのかは分かっていない.
本研究は,音を用いた脳波ニューロフィードバック (NF)トレーニングによってアルファ波を意図的に高めることができるのか,さらにアルファ波を高めることで創造性も高くなるのかについて調べた.
精神疾患のない成人10名(年齢:20-50代,女性:6名)に対して,アルファ波を高めるNF課題と,弱めるNF課題を15分間ずつ行った.各NF課題実施後,10分間のトーランス式創造性思考テスト(TTCT)を行った.
実験の結果,10名中7名がNFによってアルファ波の強さを意図的に変化させることに成功した.また,全被験者のNF終了前1分間のアルファ波の強さとTTCTの流暢性に正の相関(rs=0.46, <0.1)が見られた.本研究により,NFによってアルファ波を意図的に高められることが示された.さらに,アルファ波を意図的に高めることで,その後の創造性も高まることが示唆された.今後は,音だけでなく様々なモダリティを通してユーザーの創造性を高める,より実用的なNFシステムの構築を目指す.
* 本研究は,DAIKIN共同研究費の支援を受けて行われた.