医用電子と生体工学
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酸素消費量からみた心臓の最適収縮性
菅 弘之
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1976 年 14 巻 1 号 p. 41-44

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抄録
心臓は生体の活動を維持するに必要な血流の総和である心拍出量を, 血管抵抗によって発生する動脈血圧に抗して送り出している。心臓はそのエネルギー産生のために酸素を消費している。
心臓の収縮性あるいは収縮の強さは, 実験的あるいは病的には広い範囲に変わるが, 正常な状態では, 動物の種と体重が決まればその収縮性のばらつきは比較的少ない1~3)
与えられた総末梢抵抗に対して一定の心拍出量を送り出す場合, 収縮性の高い心臓では小さい心室容積でもよいが, 収縮性の低い心臓では心室容積が大きくなければならない。すなわち弛緩期末容積ならびに残余容積は, 収縮性の大小に逆比例する4)
正常な状態において, 心臓の収縮性をばらつき少なく与える機序は何であろうか。この研究では, この問題への第一歩として, 心臓の機械的仕事量とそのための酸素消費量との関係を中心に考察し, 正常な心臓の収縮性は, 酸素消費量が極小となるような値に調節されているのではないかという可能性を指摘した。
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© 日本生体医工学会
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