抄録
骨の成長,修復,維持における骨循環の役割は重要であるが,その詳細なメカニズムは明らかではない.骨形成への骨循環の関与を調べる上で,骨血流の定量的な計測は有効な知見をもたらすことが期待される.そこで本研究では,CCD生体顕微鏡を用いた骨膜微小循環計測手法の確立を目的とした.本手法は,ラットの骨膜を露出させ,CCD生体顕微鏡を用いて骨膜上微小循環を撮影し,その動画像を画像解析することにより血管径,血流速および血流量を定量的に計測するものである.本手法を用いて,Wistarラット脛骨骨膜上に血管拡張剤ニトロプルシドナトリウム(sodium nitroprusside,SNP)を投与したときの微小血管の血流変化を計測した.SNPにより血管径は拡張し,血流速の増加が確認された.本手法は骨膜上微小循環の血流計測の一つとして用いることができると考える.