計算力学講演会講演論文集
Online ISSN : 2424-2799
セッションID: F401
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F401 核酸医薬品開発に向けた細胞内環境における核酸の分子設計(F4.物質・材料と計算力学~無機・有機・ナノ材料の新展開~,フォーラム)
杉本 直己
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抄録
核酸の挙動を化学的に解明するためには,その構造・物性・機能等の定量的な記述が求められる.本講演では,核酸の安定性を定量的に表現する手法を述べるとともに,その安定性に及ぼす周辺環境の効果について説明する,生物は遺伝情報をもとにして生命活動を行う.この遺伝情報は、真核生物では,核内のDNA(deoxyribonucleic acid,デオキシリボ核酸)に蓄えられている.一方,タンパク質は細胞の主成分であるとともに,エネルギーや物質の産生を担っており,生命活動を実際に行う際の主要分子である.このDNAの遺伝情報とタンパク質の機能を媒介しているのが,RNA(ribonucleic acid,リボ核酸)である.DNAからRNAへの遺伝情報の転写(transcription)と,RNAからタンパク質への翻訳(translation)の過程を経ることで,遺伝情報がタンパク質に伝達される.このDNA→RNA→タンパク質という遺伝情報の流れはセントラルドグマ(central dogma)とよばれ,生命活動における核酸の重要性を示している.講演では,核酸の構造と安定性,それらに及ぼす効果として分子クラウディングについて解説し,さらにそれらの定量的知見に基づいたセントラルドグマの新しい仮説を紹介する.また,これらの知見を基に,細胞内で機能する核酸医薬品の新しい分子設計についても考察する.
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© 2012 一般社団法人 日本機械学会
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