設計工学・システム部門講演会講演論文集
Online ISSN : 2424-3078
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人間の感性と設計の接点 : タイにおける鶏形態に対する嗜好の感性モデル(特別講演II)
原田 昭張 ジュエPornthep LERTTEVASIRI
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p. 3-8

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抄録

設計という技術が機械という人工物ばかりでなく、家畜や家禽に対しても同様に適用されている。設計は人間にとって、機械としての物質的価値によって満足するばかりでなく、人間の持つ感性的価値を満足させるための行為としての意味を持っている。本講演では、設計が人間との感性とどのような接点を有しているかについて、生物の設計という研究を通してその考えを述べる。生物は単純に自然淘汰のみによって変異してきたものではない。自然物であり、制限がかかっているものの人為淘汰圧が高い家畜は、何らかの文化背景と人間の発想によって作られてきた生き物と考えられる。家畜という人間文化のなかで品種成立してきた生き物を考えるとき、どのような仕組みによって見ることができる形を持つようになったのかを探ることは重要な現代的課題である。本研究では、鶏を対象として、人間感性がどのような評価を鶏の形なり色なりに与えてきたのか、そしてその要因を結び付ける構造を多面的に探ることが本研究の最終目的である。予備調査として鶏のルーツであるタイの山岳少数民族地域において、鶏と生活を共にしている彼らがどのような鶏形態を好むかについてサーベイをおこなった。民族別、地域別の嗜好の相違を説明する変数が環境生態的変数、生物形態学的変数、感性情報学的変数、生活文化的変数ならびに経済流通変数の中で、どのようなモデルにより説明可能かを探索する。

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© 2005 一般社団法人 日本機械学会
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