抄録
自動車は我々に多くの利便性を与えた反面,社会と地球に多大な負荷を与えてきた。今後,アジア,アフリカにおいてもモビリティが進展すると予測されるが,人が移動するためにはエネルギーを必用とする。しかし,もはやヒトと地球に負荷を与えることは許されない。2030年には運輸部門における石油の依存度を80%以下にすることが求められているが,来世紀は循環型社会になり,そこで使用できるエネルギーはバイオマス,水素,原子力と自然エネルギーになると考えられる。超長期のエネルギー状況を視野に入れて,今我々は何をすべきか,ガソリン車とディーゼル車の関係,ハイブリッド車と燃料電池車の将来,水素社会へのつなぎとしての合成燃料とバイオマス燃料,ITS・TDMによる交通流の円滑化等自動車技術,燃料技術,交通技術の視点から将来のクルマ社会のありかたについて展望したい。