抄録
微生物分解型家庭用生ごみ処理機を長期運転し、微生物学的に分析した。生ごみ処理機に入れる微生物担体とそれに付着した生ごみ残渣の含水率を40±5%に制御することで、好気的条件を維持することができ、725日間の処理を実証した。その間、生ごみの約90%(乾燥質量比)がガス化した。平均の処理槽内温度は38.7℃、pHは9前後を示した。担体表面の塩濃度は処理とともに増加し、NaCl濃度に換算して約2Mに達した。16種類の寒天培地(4種類のNaCl濃度×4種類のpH)を用いて、処理機内で働く細菌の状態を細菌相として調べた。21日目は低塩濃度-中性を好む細菌相を示したが、200日目には0.5M NaCl-pH 9を好む細菌相へと変化した。200日以降は細菌相に目立った変化は見られなかった。これらの結果は、pHと塩濃度の環境因子の変化にともなって細菌の群集構造が変化することを示している。