主催: 一般社団法人 日本機械学会
会議名: 日本機械学会 関西支部第96期定時総会講演会
開催日: 2021/03/17 - 2021/03/18
鉄道台車枠の重点検査箇所以外の場所に対しても,より高い頻度でき裂検査が行うことができればより有用である.そこでき裂を迅速かつ正確に検出可能な検査方法として,アクティブ温度ギャップ法に着目した.材料を局所的に加熱することで熱の移動を生じさせると,き裂部で大きな温度差が生じる.この温度差を赤外線カメラで計測することでき裂部を検出できる.本手法は,構造物に発生したき裂を面計測で遠隔から迅速に検出することが可能であり,目視検査の代替検査となりうると考えられている.本研究では,鉄道台車枠に発生したき裂の検出性を評価した.初めに検査対象の塗装の影響を検討するため,熱湯滴下による加熱実験および有限要素解析を用いた非定常熱伝導解析を行った.その結果,膜厚が100㎛程度では,表面で計測される熱伝導挙動への塗装の影響が小さいことが分かった.次に鉄道台車に用いられる厚さ9mmのSM490Y材に対して,半楕円き裂を模した各種き裂パラメータを用いることで,本手法によるき裂の検出性を検討した.モデルには加熱源に平行なき裂を用いた.その結果,加熱源に平行なき裂に対して,き裂深さ3mmの半楕円き裂に対しては,き裂端部以外のき裂幅を検知することができ,き裂深さの検出限界は1mm程度であった.温度微分値を用いた2次元画像により,材料表面のき裂形状を特定することが出来た.