1931 年 34 巻 169 号 p. 731-743
世に行はれて居る隧道排煙装置の数種に就き、簡単なる意見を述べた。1929年9月に中央線小佛隧道にて施行した試験の目的はサッカルド吹込式と隧道幕を併用せる次の三つの場合即ちサッカルド吹込式に、(1)隧道入口幕を併用する場合、(2)出ロ幕を併用する場合、(3)入口及び出口兩幕を併用する場合に就き、其排煙効果最も良きものを決定するもので、尚此れ等の方式と、送風機なく単に兩口の幕のみによる方式との列車に與へる効果に就き比較した。試験の結果によれば、サッカルド吹込方式に隧道出口の幕を併用せるものが最も良く、従つて従來我國に於て採用せる単なるサッカルド吹込方式に比し遥かに有効にして且つ経済的である。