M&M材料力学カンファレンス
Online ISSN : 2424-2845
セッションID: 908
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908 耐熱コーティングの特性評価と規格化動向(社会貢献フォーラム:材料力学研究者の社会貢献と規格化・標準化)
伊藤 義康
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抄録

知的財産とは、一般に特許、意匠、商標、著作などの人間の知的生産物に対する総称として使われることが多い。しかし、人間の知的生産物という観点からは、規格・標準類も同様に知的財産と言える。両者の大きな違いは、特許・著作に代表される知的財産は個人の保有権が保護されるのに対し、規格・標準は公的に認知されて利用できることが基本となる点にある。従来から、企業における研究開発の成果として、自事業防衛の観点から特許等の知的財産権の蓄積が重要であるとの認識は強い。一方、従来から規格・標準に関しては研究開発の成果としての認識は強くなく、従来から公的機関において共通基盤的な技術標準の策定が進められてきた。しかしながら、最近の市場のグローバル化は、戦略的な国際規格・国際標準の構築を必要としている。すなわち、事業の核である製品・技術を他社から防衛するのが特許であり 、事業化を推進するのが規格・標準である。デファクト標準(競争原理に基づく業界標準)は新規事業の立ち上げを推進し、デジュール標準(共通基盤的な技術標準)は事業の継続的発展を支援するものである。したがって、これからの研究開発においては、広義の知的財産として特許と共に、規格・標準化をも念頭に置いて戦略的に進める必要がある。本報では、各種の高温機器を対象に進められてきた耐熱性試験の開発現状と、その規格・標準化についてまとめた。特に、先端技術分野であるガスタービンの耐熱・耐環境コーティング技術に注目し、そのデジュール標準(共通基盤的な技術標準)の動向を明らかにし、今後の耐熱試験方法の規格化について言及する。

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© 2007 一般社団法人 日本機械学会
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