抄録
国内外の原子力プラントの低炭素ステンレス鋼において応力腐食割れ(SCC)を原因とする損傷が発生している.高経年化プラントの維持管理・信頼性確保のためには,SCCき裂の進展に及ぼす種々の要因を検討する必要がある.しかしながら,地震荷重のように繰返しの大きな荷重を受けた後のSCCき裂の進展挙動についての報告はない.そこで,冷間圧延を行ったステンレス鋼(SUS316L)のCT試験片を用いて,BWR炉水模擬環境中にてSCCき裂の進展に及ぼす繰返しの過大荷重の影響について検討を行う.試験の結果,SCCき裂は,繰返しの過大荷重を受けると,その進展速度が荷重負荷前に比較して遅くなることが確認された.