従来の研究では,FRP中の応力評価には顕微ラマン分光法が用いられてきたが,その多くがモデル複合材料であった.そこで本研究では,顕微ラマン分光法を用いた実FRP中の炭素繊維の応力の測定を行った.第一に,応力測定に必要な炭素繊維の負荷応力とラマンシフトの関係を算出した.次に,FRP中の炭素繊維の残留応力測定,残留応力マッピング測定,DCB試験によるき裂先端近傍の炭素繊維の応力測定を行った.残留応力測定では,深く埋没している繊維において最大534.16MPaの圧縮応力が測定された.また,残留応力マッピング測定では表面の繊維では低応力であり,内部の繊維では高応力となる結果が得られた.