抄録
本論文では、伸縮膜を用いた新しい展開構造としてDCMS(Deployable Closed-Membrane StruGture)を紹介する。DCMSは4つの棒材と4つの自由継手によって構成された四角形のフレームの中に伸縮性の膜材を張ることで構成される膜パネルを構成要素とし、これらを棒材、自由継手を共有することで連結して構成させる構造体である。DCMSは膜材の張力が構造体内部で自己釣合い系を形成することで安定し、同時に弾性変形能と展開メカニズムを有する。また、DCMSの基本ユニットの一つである4つの膜パネルから構成される4膜ユニットが空間充填可能であることを示し、これにより4膜ユニットの連結による様々な形状のモジュールが形成可能であることを示し、その例として線状モジュール、および面状モジュールを紹介する。最後にDCMSの適用例としてプロトタイプユニットを用いたパビリオン用のテント型モジュールを紹介し、その折り畳みプロセスを示すことでモジュールに対して展開メカニズムが保存され、効率的な展開構造物が構成可能であることを示す。