抄録
近年,衛星搭載のアンテナや太陽電池パネルは,観測周波数の高周波化や高感度化,大電力要求に対応するために,大型化かつ高精度化している.そこで,著者らは,地上ならびに軌道上で,大型構造物の形状を高速かつ高精度に計測する技術の研究開発に取り組んできた.これまで採用してきた基準面を用いたキャリブレーション法において,キャリブレーション過程と計測過程を完全に独立に行うことで,可搬型の計測装置を使った簡便な高精度計測を実現してきた.しかし,キャリブレーション過程と計測過程で,カメラ・プロジェクタ距離等の計測系諸元が変化することが容易に想定され,計測系の変化は計測精度に影響を及ぼす.そこで,本論文では,計測対象物そのものを基準面として利用し,変形のみを計測する手法を提案し,その実現可能性について考察した.