抄録
工業製品を開発する上で、実物による実験を簡略化、省力化するための道具の一つとして広く導入されているCAE(Computer Aided Engineering)であるが、学童としての成長期にビデオやカードゲーム等で実物・実物理現象に触れる事が少なかった学生や若手技術者の中には、明らかに物理現象から乖離し間違ったCAE結果を見抜けない例が多く見られる。そこで本研究ではこの実現象とCAE結果の乖離を見抜く力を高めるPBLの例として割り箸ブリッジや竹とんぼに着目した。これらを題材として、形の構想からCAD(Computer Aided Design)による形状決定、CAEによる解析、その形状での製作と実験までゆるやかに関連づける技術教育を行った。その結果、これら技術的要素を含む例題に取り組むことで,強度や剛性が同機能で軽量な設計技術が得られるなどの成長が学生に促された。更に割り箸ブリッジのイベント性は学生の学習モチベーションを上げる事に大いに寄与する事や、竹とんぼ発射台は従来のCAD上だけの講義や、被計測体である実験模型が静止した回流式風洞実験に興味を持たなかった学生達の興味を引くなどの効果があった.この様に割り箸ブリッジと竹とんぼが設計教育を行う上で有用なテーマとなる可能性があることがわかった。