抄録
現在, 義足の良否を左右するソケットの適合をレーザ測長およびCAD/CAMを利用して行う手法も提案されている。しかしながら, 下肢形状に基づきソケット形状を決定する工程で, 作業者に習熟を要する等の問題が存在している。これに対し, 義足装着時の軟部組織に作用する応力が予測可能であれば, 適確な適合作業を容易に行うことが期待される。それら問題を解決するために, 本研究では超音波による軟部組織および骨形状を測定可能な超音波3次元形状計測システムを試作した。下腿の3次元有限要素モデル構築の際に必要な各組織の形状を得るために, それぞれのエコーより境界面の位置情報を抽出する。このために, 得られたエコーデータのWavelet解析を行い, 各組織の境界面の識別が可能であることを明らかにした。さらに, 各境界面のエコー反射時間に各組織の音速を考慮することで各組織の厚さをそれぞれ算出し, 3次元下腿モデルを構築する可能性を示唆した。