日本衛生動物学会全国大会要旨抄録集
第58回日本衛生動物学会大会
セッションID: B11
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東マレ_-_シア,サラワク産のクロバエとニクバエ
*倉橋 弘Leh Charles
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抄録

東マレ-シアのクチンにあるサラワク自然史博物館の双翅類昆虫のレファレンス・コレクション製作のため2005年9月20日-10月3日までクチン周辺の国立公園など6カ所で採集を実施した。調査地はいずれも標高500m以下の比較的自然環境が残っている場所であった。採集方法は500gの腐肉(牛)をベイトとして持ち歩き所々で約30分間置いて集まってきたものをネットで捕獲した。その他に周辺にいるものや歩行中に見つけたものをも採集した。結果はクロバエ科14属23種、ニクバエ科6属14種を採集し標本にすることが出来た。多くのものは熱帯の低地に普通の既知種であったがクロバエ科ではWilhelmina nepenthicola Schmitz & VilleneuveとOnesia marina Kurahashi & Magpayoの2種が模式産地以外から初めての記録であり、マレ-シアからの新記録であった。 ニクバエ科ではLioproctiaBoettcherisca属でそれぞれ1新種が発見された。 両種とも外形は極めて類似しており胸背に3本の黒色縦帯を持つが、腹部は多くのニクバエでは灰色粉と黒色部分が市松紋様を呈すが、この2種は黄灰色から尾端に向かって黄金色粉を装った市松紋様になっているのが特徴である。しかし、オスの外部生殖器はそれぞれ各属の特徴をもっとともに、種の特徴もはっきりしており既知種からも区別が容易である。 Lioproctia属の新種は既知種のL. pattoni(Senior-White)にBoettcherisca属の新種はB. khasiensis(Senior-White)に近縁であることがオスの外部生殖器の構造から推定される。

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© 2006 日本衛生動物学会
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