日本衛生動物学会全国大会要旨抄録集
第59回日本衛生動物学会大会
セッションID: B26
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アカゲラおよびブッポウソウのヒナから見いだされたトリチスイコバエCarnus hemapterus Nitzsch (双翅目、チビコバエ科)について
*岩佐光啓 光啓森 さやか飯田 知彦中森 純也
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抄録

アカゲラおよびブッポウソウのヒナから見いだされたトリチスイコバエ Carnus hemapterus Nitzsch (双翅目, チビコバエ科) について. ○岩 佐光啓1) , 森さやか2), 飯田知彦3) , 中森純也4) (1)帯広畜大・昆虫, 2)東京大院・農・生圏システム、3)広島市役所, 4)鳥取大学鳥由来感染研セ.). Carnus hemapterus Nitzsch (Diptera, Carnidae) foundfrom Dendrocopus major and Eurystomus orientalis. Iwasa, M., Mori, S., O., Iida, T., and Nakamori, J.    チビコバエ科Carnidaeに属するトリチスイコバエCarnus hemapterus Nitzsch, 1818は, 欧米では様々な野鳥に寄生吸血することが知られている. 本種の記録は、日本では1999年6月に北海道沼田町に住む主婦の外耳道から発見されたのが初めてで, 野鳥宿主や分布等の詳細については不明だった. 昨年、2例目の記録として長野県でハシボソガラスのヒナから2個体(雌1、雄1)見いだされたが(2006年10月北日本支部会発表)、今回、2006年7月4日に北海道帯広市にてあらたにアカゲラのヒナより雄1個体が見いだされた. さらに同年7月8日には、厚生科研費で実施している鳥類の外部寄生虫調査によって、広島県三沢市でブッポウソウのヒナより25個体(雄3、雌22)が見いだされた. ヒナから見いだされたこれらのほとんどの個体で翅が脱落し、雌の多くは腹部が膨れ、卵巣が発育していた.  一連の野鳥からの追加記録により、本種が日本に広く分布し、樹洞性から非樹洞性までの多くの種の野鳥に寄生している可能性が示唆された。本種の生活史の一端についても報告する.

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© 2007 日本衛生動物学会
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