日本衛生動物学会全国大会要旨抄録集
第60回日本衛生動物学会大会
セッションID: A24
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飛越高原有峰地域のアブについて
*渡辺 護
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抄録

 飛越高原は岐阜県と富山県の県境に位置し、近年観光などを目的に新しく作られたリゾート名称である。演者は先に、岐阜県側の山之村地域のアブ相について報告したが、今回は富山県側の有峰地域について報告する。とくに、北陸の山間地渓流域で多発しているイヨシロオビアブの高標高地における発生状況について報告したい。  2000年に薬師岳登山口の折立太郎林道においてマレイズトラップによる調査を開始、2002年には猪根谷の道路沿いにボックストラップを設置、また2004年からは有峰湖を挟んだ対岸の十郎谷にボックストラップを設置した。さらに、2005年からは猪根谷と十郎谷のボックストラップにマレイズトラップを結合して設置した。折立のトラップにはドライアイスを配置しなかったが、猪根谷と十郎谷にはドライアイスを配置した。 調査は毎年ほぼ7月中旬から10月中旬まで、ほぼ毎週捕獲アブを回収した。  折立地点(1380m)では5年間の調査で、12種517個体の雌と18個体の雄が捕獲され、アカウシアブが36.2%と最も多く、次いでイヨシロオビアブの30%、キンイロアブの13.2%、トヤマゴマフアブの10.8%などであった。猪根谷地点(1120m)ではボックス5年間で12種14,279個体が捕獲されたが、その97.7%をイヨシロオビアブが占めた。同じ地点におけるマレイズの3年間では15種3,325個体が捕獲され、イヨシロオビアブが82.6%と低くなり、アカウシアブ6.2%、ヤマトアブ5.1%、キンイロアブ2.8%などであった。十郎谷地点(1130m)のボックス4年間では9種3,017個体が捕獲されたが、イヨシロオビアブは81.1%と低く、ヤマトアブが9.8%、アオコアブが6%捕獲された。マレイズではさらにイヨシロオビアブの占有率が42.4%と低くなり(全体数は1,409個体)、アカウシアブが24.6%、ヤマトアブ15.3%、キンイロアブ7.5%などであった。 Key word: tabanid fly, Arimine area, Toyama prefecture, box trap, malaise trap

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© 2008 日本衛生動物学会
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