日本医真菌学会総会プログラム・抄録集
Print ISSN : 0916-4804
第51回 日本医真菌学会総会
セッションID: P-79
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IV. 皮膚真菌症
非ホジキンリンパ腫を基礎疾患に持つ患者に発症したクロモミコーシス
*野村 昌代青山 裕美山中 新也北島 康雄
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抄録

77才女性 69才時に非ホジキンリンパ腫を発症し、化学療法により加療されており、現在ステロイド(PSL5mg)内服中。2007年6月13日にムカデ咬症の治療目的で当科初診した際に、右手背にうずら卵大の結節を指摘された。合併症に慢性心不全と腎不全。現症:右手背に半ドーム状の結節が2個あり、結節の辺縁は堤防状に隆起し表皮を通して青色から黒褐色の皮下腫瘍を透見し一部で表皮は乳頭腫状に増殖していた。結節の中央は潰瘍化し血痂と痂皮を付着していた。結節の周囲に紅斑を伴っていた。リンパ腫の皮膚転移と上皮系の腫瘍を疑い生検したところ組織内に褐色の菌糸を多数認めたため深在性真菌症を疑い、診断と治療を兼ねて一方の結節を全摘した。病理組織所見:表皮の擬癌性増殖と表皮直下から皮下組織に至る肉芽腫性増殖を認め、巨細胞や組織中に多数の褐色菌糸、円形細胞、Sclerotic cellを認めた。真菌培養:組織片のより黒緑色ビロード状のコロニーの産生を認めた。現在菌種を同定中である。臨床、病理および培養所見よりクロモミコーシスを考え、イトラコナゾール(100mg)内服とカイロによる温熱療法を施行中である。

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© 2007 日本医真菌学会
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