日本医真菌学会総会プログラム・抄録集
Print ISSN : 0916-4804
第51回 日本医真菌学会総会
セッションID: P-104
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V. その他一般
Proptotheca zopfii 同定のためのPCR系の開発
*小野崎 正修鈴木 基文槙村 浩一
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抄録
Proptotheca zopfii は、葉緑素を持たない藻類であるが、ヒトや犬・牛において全身または、局所に感染し、真菌症類似のprptotecosis (プロトテカ症)を引き起こすことが知られている。本藻は治療に難渋し、産業上問題となる牛乳房炎の原因となるのみならず、ヒト、イヌ等においても重篤な深部皮膚感染症を生じる。本症の治療においては、早期の診断と有効な抗真菌薬の選択が重要であるが、従来の分離同定技術は迅速性ならびに信頼性の点で問題があった。本研究では、P .zopfii に特異的なPCR系の開発を試みた。プライマーは、DDBJ/EMBL/GenBankに登録のあるChlorella 属及びProptotheca 属のSSU領域塩基配列のアライメントより、P .zopfii に特異的な18PZF1と18PZR1を作成した。また、nested PCRを行う目的で、その領域の外側にO18SF1とO18SR1を設計した。これらPCRの特異性は、Chlorella(V-12)1株,及び、JCM(理研)で保管されているP .zopfii 10株,P .wicherhamjii 4株,P .stagnora 1株、また、Candida属4種4株(TIMM)による計8菌種20株をコロニーPCRにより確認した。領域O18S F1とO18SR1を用いた結果では、すべてが551bpの目的増幅産物を得て、さらに18PZ F1と18PZR1によるnested PCRをおこなった結果、P .zopfii 10株のみから233bpの目的増幅産物を確認した。本nestedPCRシステムはProptotheca zopfii の同定において迅速性と特異性が高く、その有用性が確認できた。
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© 2007 日本医真菌学会
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