日本医真菌学会総会プログラム・抄録集
Print ISSN : 0916-4804
第51回 日本医真菌学会総会
セッションID: P-7
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I. 内臓真菌症
深在性真菌症の診断のための血中β-グルカン測定法の再評価 ─ 剖検例による検討
*大林 民典
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抄録

【目的】剖検所見を基準に血中β-グルカン測定法の深在性真菌症に対する診断効率を再評価する.【対象】2000年1月から2005年12月までの当院のすべての剖検記録.【方法】深在性真菌症の有無により2群に分け,有病率を求めた.各群の中で,死亡前2週間以内に血中β-グルカンの測定がなされていたものを選び,カットオフ値30,60,80 pg/mlにおける感度と特異度を計算した.上に求めた有病率のもとで,各カットオフ値に対する陽性および陰性予測率を推定した.【結果】456例中54例(11.8%)に深在性真菌症を認めた.54例中41例でβ-グルカンが測定されていたが,1例は接合菌によるものであったため除外した.残り40例のうち30 pg/ml以上が39例(感度97.5%),60 pg/ml以上が35例(同87.5%),80 pg/ml以上が32例(同80.0%)であった.深在性真菌症でなかった402例中63例でβ-グルカンが測定されていた.各カットオフ値に対する特異度は85.7,95.2,98.4%であった.有病率を11.8%としたとき,各カットオフ値に対する陽性予測率は47.7,70.9,87.0%,陰性予測率は99.6,98.3,97.4%であった.【結論】有病率が12%前後のとき,30 pg/ml以下であれば深在性真菌症をほぼ否定でき,80 pg/ml以上であれば90%近い確率で深在性真菌症と診断できる.

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© 2007 日本医真菌学会
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