日本医真菌学会総会プログラム・抄録集
Print ISSN : 0916-4804
第51回 日本医真菌学会総会
セッションID: P-20
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II. 分類と同定
新疆の土壌から分離された新種と病原性 Emericella 属菌との比較検討
*松澤 哲宏矢口 貴志堀江 義一田中 玲子五ノ井 透
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抄録
Emericella 属は Aspergillus のテレオモルフの1つであり,アナモルフは Aspergillus section Nidulantes に分類されている.ヒトの真菌症原因菌としての報告があり医学的に重要である.また,馬の喉嚢炎の主要な原因菌としての報告もされている.さらに発ガン性マイコトキシンであるアフラトキシンやステリグマトシスチンの生産性も報告されており,食品衛生学上も重要な菌である.
最近,中国の新疆の土壌から新種と思われる種が分離された.本菌種は,子のう胞子の形態が E. nidulans に類似しており,系統的には E. rugulosa に近縁であるという特徴を持つ.従来 E. nidulans として同定されてきた菌の中には,本菌種であったものも存在する可能性がある.また,E. nidulans および E. rugulosa は共に病原性の報告がある.以上のことから,病原性を有する可能性も考慮し,本菌種とその関連菌の生理・生化学的性状の差異を検討した.
その結果,最高生育温度は E. nidulansE. rugulosa および本菌種ともに 48℃であった.麦芽エキス寒天培地 (MEA培地)上で25℃,14日間培養した結果,E. rugulosa および本菌種のコロニーの直径は,E. nidulans の半分以下であり,生育速度に差が認められた.
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© 2007 日本医真菌学会
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