抄録
症例1:77歳男性、千葉県香取市在住、農業従事者。既往歴は高血圧。農作業中に前額部に外傷を負った3週間後、同部位に圧痛を伴う紅色結節が出現し増数、増大した。左下顎部にも圧痛のあるリンパ節腫脹が出現し、発熱、悪寒を伴うため2007年5月当科を受診した。受診時、前額部、左眼囲、左下顎に多発する排膿を伴う軟らかい紅色結節を認め、病理組織学的に非特異的肉芽組織であった。膿汁の培養からNocardia brasiliensisが同定された。切開排膿処置とミノサイクリン内服4週間で著明に改善。ミノサイクリンの副作用のためST合剤に変更し14週間投与した。治療終了後8カ月現在再発を認めない。
症例2:79歳男性。千葉県四街道市在住、無職。既往歴は慢性甲状腺炎。2006年6月自転車で転倒し右前腕に挫創を受傷後、同部位に紅色結節が出現した。数か所の医療機関で切除術や軟膏治療をうけたが治癒せず、2007年5月当科を受診した。受診時4×2cmの排膿を伴う紅色結節で、病理組織学的に非特異的肉芽組織であった。膿汁の培養からNocardia brasiliensisを同定。ST合剤14週間内服にて瘢痕治癒した。治療終了後9カ月現在再発を認めない。