日本医真菌学会総会プログラム・抄録集
Print ISSN : 0916-4804
第52回 日本医真菌学会総会・学術集会
セッションID: ES-2
会議情報

イブニングセミナー2
深在性真菌症の診断と治療
―各々の有用性をいかに引き出すか―
*吉田 耕一郎
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

深在性真菌症の領域ではいくつかのガイドライン(GL)が公表され既に数年を経過している。国内では「深在性真菌症の診断・治療GL」が昨年2月に改訂された。また本年1月には米国IDSAのアスペルギルス症GLが、6月にはEORTC/MSGの診断GLが改訂されている。IDSAのアスペルギルス症GLは新しい診断区分や治療のエビデンスを盛り込み、従来のGLをさらに進化させたものに仕上がっている。またEORTC/MSGのGLも従来のものよりスマート化され、一層臨床現場の実情に即したものになった。IDSAではカンジダ症のGLの改訂作業も終了したと聞く。臨床現場への相次ぐGLの投入は本症の診療レベルの向上に寄与するものと思われる。しかし、GL作成に用いられたエビデンスの大部分が海外で示されたものである点には、読み手として一定の注意を払うべきであろう。
複数の深在性真菌症診療GLの改訂が行われつつある背景には、新規抗真菌薬が相次いで臨床に導入され、日常診療でも真菌症の病態や原因真菌種に応じて一層厳密な使い分けが求められるようになった実情がある。また診断においても、IDSAやEORTC/MSGのGLで新しく推奨されるようになったβ-グルカン値測定や、アスペルギルスガラクトマンナン抗原運用の変更点など、いくつかのトピックスが挙げられる。
本イブニングセミナーでは、最新のガイドラインに照らし合わせながら、最近の深在性真菌症診断法の動きを紹介し、その問題点と効率的な早期診断のための検査運用、および成績評価について述べる。また抗真菌薬の有用性を最大限まで引き出すためには、どのような観点から抗真菌薬を選択し使用すべきか、考察してみたい。

著者関連情報
© 2008 日本医真菌学会
前の記事 次の記事
feedback
Top